ヨガの10の幸せのトレーニング:ヨガスートラのヤマ・ニヤマについて
10のトレーニングの1つ1つは数珠を形成するビーズのようなもの。10個すべては相互に関わり合い、1つの数珠を成り立たせている。
ヨガの10の幸せのトレーニング:ヨガスートラのヤマ・ニヤマについて
人生とは、選択と行動の積み重ね。
日々の生活の中で何を自分の選択や行動の拠り所にしていますか?
ヨガの経典(ヨガスートラ)では、人が幸せに生きるための方向性として、しないほうが幸せになれること(ヤマ)、したほうが幸せになれること(ニヤマ)が、それぞれ5つずつ、合計10、示されています。
ますます、一人一人が選択に迫れれる場面が多くなる一方です。
周囲に惑わされずに、より軽やかに自分らしく人生を楽しむには、自分の中に軸となる拠り所を持つことは、きっと助けになります。
私は、ヤマ・ニヤマを意識し始めて、人生の選択がよりシンプルで楽になりました。
この記事では、ヨガの実践体系の中で、ヤマニヤマがどのように位置付けられているのか、具体的にどんな内容なのかを、
①ヨガとは?
②ヨガの8つの実践法(八支則)とは?
③ヤマニヤマとは、日々を幸せに生きるための方向性
④ヤマ・ニヤマは、マットの上のポーズ、呼吸法、瞑想実践の土台でもある
で、概要をご紹介します。
①ヨガとは?
ヨガは、約4千年前のインドで発祥されたとされています。
たくさんの実践者によって、実践の知恵が蓄積され、体系化されてきました。
その一つの形が、パタンジャリ師によるといわれる「ヨーガスートラ」(4-5世紀)という経典です。
そこでは、「ヨガとは心の働きを静めることである」(ヨーガスートラ1.2)と、表されています。
「心の働き」とは、苦しみを生み出す心の仕組みです。
すなわち、心の働きを静めるとは、「苦しみを生み出す心の働きを静める」こと。
つまり、ヨガとは、修行によって苦しみを生み出す心の働きを静め、本来の自分自身に目覚めて幸せに生きるための道です。
ヨガと聞くと、身体を使ってポーズをとる、というイメージが今の日本では先行しているかもしれませんが、幸せに生きるための道であれば、あなたも少しは関心が持てるのではないでしょうか。
②ヨガの8つの実践法(八支則)とは?
そして、苦しみを生み出す心の働きを静めて、本来の自分自身に気づいて幸せに生きていくための方法として、以下の8つの実践法(八支則)が示されています。(ヨーガスートラ2.29)
<ヨガの8つの実践法>
- ヤマ:禁戒
- ニヤマ:歓戒
- プラーナヤーマ:呼吸法
- アーサナ:坐法 ポーズ
- プラティヤハーラ:制感
- ダーラナ:集中
- ディヤーナ:瞑想
- サマーディ:三味
1つ1つの説明は割愛しますが、8つの実践は、大きく、①生き方、②身体、③心の3つ実践に分類できます。
- 幸せに生きるための日々の生き方の指針(2つ)
- ヤーマ:禁戒
- ニヤマ:歓戒
- 身体を使った実践(2つ)
- プラーナヤーマ:呼吸法
- アーサナ:坐法 ポーズ
- 心の実践=瞑想(4つ)
- プラティヤハーラ:制感
- ダーラナ:集中
- ディヤーナ:瞑想
- サマーディ:三味
そうです。
ヨガの実践イメージとして多くの方が持たれているヨガポーズ(アーサナ)の実践というのは、8つの実践法の1つです。実は半分は心の実践(瞑想)になります。
③ヤマ・ニヤマは、日々を幸せに生きるための方向性
では、ヤマ・ニヤマについて内容を見ていきましょう。
ざっくりとした全体像をお見せすると、それぞれ5つずつ、全部で10あります。(ヨガスートラ29-2.49)
- ヤマ(禁戒/Yama):控えるべきこと(普遍的な行為、自他との関わり方)
- アヒムサ/Ahimsa:非暴力、不殺生
- サティア/Satya:正直、真実
- アスティア/Asteya:不盗、盗まないこと
- ブラフマチャリア/Brahmacharya:禁欲、エネルギー管理
- アパリグラハ/Aparigraha:不貪、無執着
- ニヤマ(勧戒/Niyama):守るべきこと(内なる実践)
- サウチャ/Saucha:清浄
- サントーシャ/Santosha:知足、満足
- タパス/Tapas:鍛錬
- スワディヤーヤ/Svadhyaya:読誦、独学、自己学習
- イシュヴァラ・プラニダーナ/Ishvarapranidhana:信仰、自然・宇宙との一体感
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いかがでしょうか。ピンとこない単語もあるかもしれませsんが、部分的にでもどこかで聞いたことがあるかもしれません。
例えば、ガンジーのアヒムサ(非暴力)・不服従運動は、とても有名です。
また、嘘をついてはいけない(正直)、盗んではいけない(不盗)なども、子供の頃から学ぶことですよね。
私が取り組んでいる仏教の五戒や、依存症からの回復プログラムとして世界中で取り組まれているキリスト教のある宗派の教えをベースに開発された12ステップ・プログラムとも、とても共通していると感じています。
”戒”ときくと、自分を縛るような厳しいルールのような印象を受ける人もいるかもしれませんが、実際は、より自由で幸せな生活に変化していく可能性を探るための「方向性」であり「地図」だと感じています。
これは宗派を超えた普遍性があるのだと確信しています。
④ヤマ・ニヤマは、ポーズ・呼吸法・瞑想の実践の土台でもある
たとえば、ヨガマットの上で、身体や心の実践に懸命に取り組んだとしても、日常生活で、人に嘘をついたり、暴力をふるったりなど、生き方の方向性が間違っていたら、幸せな人生を気づいていくには程遠いと思います。
また、同時に、ヨガマットの上で、自分の体を痛めつけるような(=暴力的な)方法でポーズの練習をしたとしても、それはやり方が間違っています。
つまり、ヤマ・ニヤマは、日常生活だけでなく、マットの上での実践の正しい方向性を示してくれる土台でもあります。
つまり、自分を幸せにするツールとしてヨガに興味がある人にとっては、ヤマニヤマは必須の実践といえると思います。
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ヨガホーム のオンラインサンガでは、毎回10の幸せのトレーニング(ヤマニヤマ)のうち1つをテーマとして取り上げ、日常生活とマットの上での実践において具体的に何を示しているのかを、講義と実践と質疑応答/シェアリングを通して学んでいきます。
興味がある方は、ぜひぜひ連続受講をお勧めしたいですが、もちろん1回から歓迎します!
ヤマ・ニヤマをみなさんと分かち合い、共に楽しく人生をクリエイトしていけることを楽しみにしています!
愛を込めて。
堀桃代
【参考資料】スワミ・サッチダーナンダ『インテグラル・ヨーガーパタンジャリのヨーガ・スートラ』
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